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  • koccn2014

column(No.4)「眠れてないから鎮静しよう」は効果的?

 クリティカルケア領域でも患者の睡眠は注目されており、国際的なガイドラインでも睡眠管理について提言されています ※通称「PADISガイドライン」[1]


 夜間に覚醒傾向にある重症患者に対して、鎮静剤をボーラス投与したり増量したりすると、患者の表情は穏やかになり動かなくなって眠っているように見えます。この時の患者の睡眠はどうなっているのでしょうか?実際に患者は眠れているのでしょうか?


 結論からいうと、鎮静剤が患者の覚醒や動きを抑制し睡眠を作り出しているように見えますが、生理学的な睡眠の質を見るとそうではありません。実際に重症患者の脳波から睡眠の質を検討してみると、ミダゾラムやプロポフォールを使用しても、正常の睡眠とはかけ離れた状況であることが分かっています[2, 3]。(浅い睡眠が増える、深い睡眠が減る、REM睡眠が減る)


 重症患者に対して「眠れないてないから鎮静剤を開始(増量)しよう」のような、睡眠を目的とした鎮静剤投与は、睡眠の質という観点から期待する効果は得られないようです。さらに、安易に鎮静剤を投与(増量)すると、そもそもの睡眠障害の原因が見えなくなってしまう可能性があります。


 『眠れてなさそうだなー』という気づきの奥には、患者の症状の変化や安楽に関連するとても重要な情報が隠れている可能性があります。眠れていない患者に薬剤を使用(増量)する前に、その原因に目を向けて、考えて、対処することが大切です。


 臨床での実践につながる情報として、睡眠を妨げる要因に関する情報を表にしていますので、みなさんが働く部署の環境や実践を見直すきっかけになれば幸いです。



1. Devlin, J.W., et al., Clinical Practice Guidelines for the Prevention and Management of Pain, Agitation/Sedation, Delirium, Immobility, and Sleep Disruption in Adult Patients in the ICU. Crit Care Med, 2018. 46(9): p. e825-e873.

2. Kondili, E., et al., Effects of propofol on sleep quality in mechanically ventilated critically ill patients: a physiological study. Intensive Care Med, 2012. 38(10): p. 1640-6.

3. Weinhouse, G.L. and P.L. Watson, Sedation and sleep disturbances in the ICU. Crit Care Clin, 2009. 25(3): p. 539-49, ix.

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