近年、バイタルサインの中でも呼吸の評価が急変予測に重要であることが言われています。
呼吸の評価というと、様々な指標がありますが、最初に思い浮かぶのはSPO2ではないでしょうか。
しかし、急変の予兆と言われているのはSPO2ではなく、呼吸回数が重要と言われています。一般的な頻呼吸の原因は以下のようなものがあります。
代謝性アシドーシスの代償:体の中の酸性物質が大量に発生し、代謝性アシドーシスが起こると、なんとか正常に戻そうとします。具体的には、呼吸によって二酸化炭素をどんどん体内から排出させるために頻呼吸となります。
酸素を十分に取り込めない時:肺の疾患などが原因で、通常の呼吸では十分な酸素が体内に取り込めない時には、呼吸回数を増やして酸素化を維持しようとします。
代謝の亢進:発熱や、運動などによって酸素消費量が増えて、二酸化炭素生産量が増える場合、体は呼吸回数を増やして酸素を取り込み二酸化炭素を排出させます。
精神面の影響:不安や恐怖などのストレス反応によって呼吸回数が上昇します。
中枢脳神経系疾患:呼吸を調節している脳に異常が生じると、呼吸回数やパターンなどに変化が生じます。
急変の定義は様々ありますが、近年言われるのは、心肺停止とは急変の中でも最終段階であり、急変の成れの果ての状態と表現されています。
突発的な不整脈や窒息などによる心肺停止を除いて、患者はすぐには急変しないと言われています。そして、急変する前の予兆として頻呼吸が出現すると言われています。
私たちはいかに急変の初期に気付けるか、予兆を見逃さないかが急変を起こさないために重要となってきます。
このように呼吸回数は非常に重要な指標となり得ますが、臨床では
体温・脈拍・血圧・SpO2は測定したけど、呼吸回数は・・・?ということを見かけます。
ぜひ患者さんを急変から守るために呼吸回数に注目してみてください。
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