日本アレルギー学会では、アナフィラキシーの定義を「アレルゲン等の侵入により、複数臓器に全身性にアレルギー症状が惹起され、生命に危機を与え得る過敏反応」とされ、アナフィラキシーに血圧低下や意識障害を伴う場合をアナフィラキシーショックとしています。
アナフィラキシーの診断基準として、次の2つの基準のいずれかを満たす場合はアナフィラキシーである可能性が非常に高いと言われています。
やはり、典型的な皮膚・粘膜症状は80~90%と多いですが、逆に言うとアナフィラキシーでも10~20%は皮膚および粘膜症状が現れない場合があるため注意が必要です。
アナフィラキシーの第一選択薬としてアドレナリンがあります。アドレナリンの効果として、血管収縮や気管支拡張、心収縮力増大などありますが、アナフィラキシーにおいて有利に働くのはアドレナリンのβ2刺激作用で肥満細胞と好塩基球のcAMP産生を増加させて脱顆粒抑制してくれることにあります。アナフィラキシーに直接効果がある薬剤ということです。以前はアドレナリン0.3mgを筋肉注射となっていましたが・・・
アナフィラキシーガイドライン2022では、「アナフィラキシーと診断した場合または強く疑われる場合は、大腿部中央前外側に0.1%アドレナリン(1:1000;1mg/ml)0.01mg/kgを直ちに筋肉注射する。アドレナリンの最大投与量は、成人0.5mg、小児0.3mg」とあります。
ということは、50kg以上の成人は0.5mg筋肉注射ということになります。
簡素化した投与量がガイドラインにも記載されていますが、13歳以上および成人は0.5mg筋肉注射と考えて良いです。
また、アドレナリンは心停止などの状況でない限り静脈注射は避けてください。異常な高血圧や不整脈のリスクが大きくなります。効果は筋肉注射後10分程度で最高となり、40分程度で半減します。症状が治療抵抗性を示す場合は5~15分毎に繰り返し投与する事が推奨されています。
薬剤や食物、虫など様々な場所や状況でアナフィラキシーは起こります、知っておくべき情報として覚えていただくと幸いです。
<参考・引用>
一般社団法人 日本アレルギー学会「アナフィラキシーガイドライン2022」
https://www.jsaweb.jp/uploads/files/Web_AnaGL_2022_0914.pdf
Comentarios