特定行為看護師とは、厚生労働省が規定する学習カリキュラムを修了した研修修了者のことをいいます。
2015年度に開始された本制度は、今後益々高齢化社会が深刻化するなかで、一定の診療補助行為ができる看護師を育成する目的で始まりました。学習カリキュラムは医学的知識に加え、選択した特定行為に関する知識・技術を学びます。多くの研修機関は、Eラーニングと集合研修を組み合わせ、現状の仕事を続けながら約1年で受講可能です。
さて、特定行為看護師は研修修了後に自分の思い描いた活躍ができているのでしょうか?
特定行為を実践していくためには、
①まずその存在を患者・医療者に認知してもらうPR活動
②行為(処置)を行うにあたり、看護師がその行為を行うメリットを明確にすること
③手順書に沿って安全に行うこと、研修修了後も実践を通して鍛錬すること
が重要です。これは修了者1人で出来る事ではありません。組織として体制を整えることも必要です。
最近感じることは、「医師からの介入・処置の依頼だけが全てではない」という事です。看護師や他職種(臨床工学技士・薬剤師・栄養士等)にとって、医師はヒエラルキーが高い存在です。特に、外来診察中・手術中の医師には、電話1本かけにくいのが本音です。特定行為看護師なら気軽に相談しやすい、その場で看護師へのOJT指導が出来るというメリットもあります。何よりも、患者を待たせず、必要な処置を患者の生活に合わせたタイミングで提供でき、実施前後の観察~次のケアへ継続できる事こそが、特定行為看護師の存在価値だと感じています。
外来や手術で、日中ベッドサイドに来られない医師に替わって、「患者の状態に合わせて人工呼吸器の設定/薬剤などを段階的に微調整できる」「呼吸器離脱の可否を評価できる」「気切カニューレ交換と瘻孔ケアができる」「身体所見や活動量に応じ、水分・栄養摂取量の評価調整ができる」ことは、患者の回復支援に大きく係わります。
一方で、特定行為看護師として活動する中で、「変則勤務だと介入が途中で途切れてしまう」「専従でないと、自分の仕事を放り出して他病棟へは行きにくい」「帰宅後に、あの後患者さん大丈夫だったかな…と気になる事がある」というのも本音です。
これらの悩みを解決するには、『各病棟各勤務に1人、特定行為看護師が勤務している』『特定行為看護師でONE TEAMを組める』くらいに人数が増えないと難しいかもしれません。地域・所属する病院/施設などそれぞれの背景で、求められる事・やれる事は異なるかもしれません。
特定行為看護師の実践報告を共有できる場がさらに拡大し、自身の活動に繋がるヒントとなり得る機会が増えることを期待したいと思います。
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