「アンガーマネジメント」って聞いたことはありますか?私はこの1.2年くらいでよく耳にするようになりましたが、アンガーマネジメントの前身は、1970年代のアメリカで開発された「感情理解教育(心理教育)トレーニング」だそうです。もともとはDVや軽犯罪を犯してしまった人に対する矯正トレーニングでしたが、そこで大きな成果が得られたということで、徐々に普及していき今に至る、というわけです。
アンガーマネジメントと聞くと、「怒りを我慢する」と思われがちですがそうではありません。「anger」を「management」するということなので、「怒り」という感情を「うまく取り扱う、処理する」ということになります。とはいえ、「怒り」は人類が地球上に誕生した時から備わっている感情であり、危機などに適応するために必要な感情です。
怒りを支配しているのは側頭葉の内側にある扁桃体で「恐れ」を感じる場所でもあります。つまり、この2つの感情は密接な関係があるということで、何か「恐れ」を感じる出来事(危機)があり、それに適応するため「怒り」という感情で対応する、ということになります。これが怒りは第二次感情と言われる理由なんだと思います。
前置きはこのくらいにして、なぜアンガーマネジメントをテーマにしているかというと、このアンガーマネジメントと言われる感情コントロールは、指導や教育の場面で有効だからです。これは、新人さんや後輩のみならず、患者さんにも、です。
例えば、後輩が何かミスをした(危機)としましょう。アンガーマネジメントができてい ない先輩だと、「なんでそんなミスをしたの?なんで!?集中してしないんじゃないの??」と一方的に問い詰めてしまい(怒り)、後輩は委縮してしまうかと思います。そうなるとパフォーマンスも落ち、後輩はその先輩から指導を受ける気もなくなってしまい、さらなるミスにつながってしまう可能性もあります。
反対にアンガーマネジメントができている先輩だと、同じように「なんでミスをしたんだろう」と思うかもしれませんが、後輩とともに起きたミス(危機)の原因を分析し、どこに問題があるかを解決し次回につなげることができるかと思います。そうなると後輩はもっと良い看護をしよう!とポジティブな感情になり、患者さんにより良い看護が提供できるようになると思います。
これは例え話なので良い展開ではありますが、アンガーマネジメントを行うことで、お互いの時間も労力も知識も無駄にすることなく、効果的な指導の場になるかと思います。もちろん指導する側だけがアンガーマネジメントをすべき、というわけではなく、もしガミガミと言われたら怒りが湧くかもしれませんが、「なんでこう言われているんだろう。どこに問題があったんだろう」と事実を振り返ることで、自然と「怒り」の感情は収まり、建設的な話ができるようになると思います。
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