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column(No.19)「苦しそう」をもう少し深く考えよう:呼吸仕事量ってなんだ?

 人工呼吸器管理の目的の一つに「呼吸仕事量の軽減」があります。人工呼吸器管理が必要かどうかを考える時には、呼吸仕事量にも注目する必要があるということです。仕事量という言葉から想像できるように、呼吸仕事量が増加すると「呼吸するのに力が必要」な状態となり、呼吸筋疲労につながります。呼吸の観察をする時に、呼吸仕事量という考え方を取り入れてみると、目の前で起きている「なんか苦しそう」の原因を探るきっかけになるかもしれません。

 まずは、呼吸仕事量とは何か?を知るためには、呼吸仕事量はどういう因子によって影響を受けるか考えてみます。1回の呼吸で必要な呼吸仕事量は下記のような式で表されます。初学者の方は、この式を覚える必要はなく、呼吸仕事量には①「気道の抵抗」②「肺の膨らみやすさ」が因子として関連していることを理解しましょう。そして、もう1つ重要な因子が「呼吸回数」です。



ここまでの情報を整理すると、呼吸仕事量が増加するには、下記のようの状況が考えられます。

<呼吸仕事量増加の因子>

 ①気道の抵抗が上昇する(例:分泌物による狭窄、気管攣縮、喘息など)

 ②肺が膨らみにくくなる(例:ARDS、肺水腫、胸郭の変形など)

 ➂呼吸回数の増加


 人工呼吸器が装着されていれば、パラメーターやグラフィックなどから、上記の因子に関する情報を得やすいですが、人工呼吸装着されていない場合でも、呼吸仕事量に目を向けることが重要です。「苦しそう」な呼吸をしている患者が目の前にいたら、呼吸仕事量が上昇している原因として、少なくとも ①気道抵抗②肺の膨らみやすいさ➂呼吸回数の3つの因子に目を向けて原因検索をする必要があります。

 当然なことではありますが、SpO2モニターを装着しても、呼吸仕事量は分かりませんので、異常呼吸や努力呼吸の有無や呼吸音、画像所見など、様々な視点で呼吸の情報を捉えることが重要です。呼吸仕事量とは何か?を理解できると、SpO2の値だけではなく、様々な視点で呼吸を看ることが重要であると実感できるかと思います。


●私がいつも思うこと

仕組みや原理が分かれば、なにげない目の前の現象の見え方が変わっておもしろい。


●やっぱり呼吸回数の観察は大切

https://koccn2014.wixsite.com/toppage/post/column%EF%BC%88no-

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